Last updated on June 8, 2016

ハエドクソウ - 蠅毒草

Phryma leptostachya L. subsp. asiatica (H.Hara) Kitam.

ハエドクソウ全体

茎がひょろひょろっと伸びるハエドクソウ

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Hakken in July, 2015

ハエドクソウ全体

高さは50cmほどでしょうか…花茎は複数伸びることも多い印象

Canon EOS20D + TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
Sapporo City in July, 2009

ハエドクソウ花

和名とは不釣り合いな可憐で小さい2唇形の花を咲かせます

Canon EOS20D + TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
Sapporo City in July, 2009

ハエドクソウ花

上唇2裂下唇3裂&上部の萼裂片は先端が伸びて鉤状に曲がっています

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Niikappu Town in August, 2014

ハエドクソウ果実

果実は茎に圧着し鉤状に曲がった萼片の先端がヒトや動物に引っ掛かります

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Shiraoi Town in August, 2013

ハエドクソウ蕾

葉は対生し長楕円形〜卵形で鋸歯縁

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Hakken in June, 2015

ハエドクソウ&ミズヒキ

果実がいわゆる「ひっつき虫」となる2種…赤い茎はミズヒキ

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Niikappu Town in August, 2014

蠅毒草 - ハエドクソウ

- ハエドクソウ科 ハエドクソウ属 -

蝉時雨が降りしきる盛夏の頃、森の散策路脇などでひょろっと伸びた花茎に可憐な花を次々と咲かせますが、花の小ささのせいか注目度はいまいちのハエドクソウ Phryma leptostachya subsp. asiatica。北海道では低地に多く見られ、道北ではやや少ないようです。ハエドクソウ科は、クロンキスト分類体系ではクマツヅラ科に含まれていましたが、新エングラー分類体系では独立して1属1種 (2亜種)、最新のAPG分類体系ではゴマノハグサ科の一部が加わり13属190種となりました。

蠅毒草、という花とは不釣り合いなインパクトのある和名ですが、Haedoxan (ハエドキサン) などの殺虫活性が高い成分を含み、かつてはこの根を米飯とよく練りまぜ、ハエを退治するために利用されたことから付けられた和名かと推測されます。

花をよく見ると上部の萼片の先が伸びていて、その先端がくるりと鉤爪のようになっています。果実になってもこの鉤爪は残り、動物やヒトの衣服にくっついて遠くへ運んでもらおうという戦略です。目立たない植物ですが、そのバックグラウンドには興味深いエピソードが様々詰まっているものですね。

【 参考文献 】

畔上能力・菱山忠三郎・西田尚道 (2013)『増補改訂新版 野に咲く花』林弥栄・門田裕一監修, p.468, 山と渓谷社.

Hinoma, A. 2006. FLORA OF HOKKAIDO - Distribution Maps of Vascular Plants in HOKKAIDO, JAPAN. [ http://www.hinoma.com/maps/plants/m9021pa.gif ] (accessed June 7, 2016).

高橋勝雄 (2007)『山渓名前図鑑 野草の名前 夏』p.242, 山と渓谷社.

田村正人 (2002)「伝統的な家屋害虫の防除法」家屋害虫 24(1), pp.25-36, 都市有害生物管理学会.

谷口栄二ほか (1988)「ハエドクソウ殺虫成分の構造決定・合成及び活性」天然有機化合物討論会講演要旨集 30, pp.1-8, 天然有機化合物討論会. doi.org/10.24496/tennenyuki.30.0_1

梅沢俊 (2012)『新北海道の花』p.102, 北海道大学出版会.

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