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イワイチョウ - 岩銀杏

Nephrophyllidium crista-galli (Menzies ex Hook.) Gilg
subsp. japonicum (Franch.) Yonek. et H.Ohashi

イワイチョウ全体

標高の高い湿原など湿潤な環境で見られるイワイチョウ

Canon EOS20D + TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
Mt. Shokanbetsudake in Mid July, 2009

イワイチョウ花

花は集散状につけ花冠は5深裂しますが稀に4深裂するものも

Canon EOS20D + TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
Mt. Shokanbetsudake in Mid July, 2009

イワイチョウ花

長花柱花と短花柱花があります…これは短花柱花

Canon EOS20D + TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
Mt. Shokanbetsudake in Mid July, 2009

岩銀杏 - イワイチョウ

- ミツガシワ科 イワイチョウ属 -

 広義の Nephrophyllidium crista-galli としては北アメリカ大陸の北西部と東アジア東部に隔離分布しますが、形態及び染色体数の違いからそれぞれ亜種として分けられています。日本国内では北海道及び本州中部以北に分布し、北海道では主に西側で見られます。標高の高い湿原や沢沿い、比較的遅くまで残る雪田底など、土壌水分の多い環境が好みの印象。かつてはリンドウ科に属していましたが現在はミツガシワ科に含まれ、科名にもなっているミツガシワと同様に二型花柱性の繁殖システムを持ち、花には長花柱花と短花柱花があります。

 イワイチョウという和名は、葉がイチョウ(銀杏)の葉に似ていることに由来する説がありますが、個人的見解としてはかなり微妙な例えではないかと。葉が丸まった状態で芽吹くという点ではどちらも共通していますが…。さらに言えば、“イワ”を冠する不思議。生育環境は岩場とは無縁で、前述の通りむしろ真逆の湿潤な環境を好みます。ミズイチョウという別名の方こそ、イチョウの由来に関しては百歩譲りますが、本来の特徴を表している和名ではないかと思います。

【 参考文献 】

畔上能力・菱山忠三郎・西田尚道 (2013)『増補改訂新版 山に咲く花』門田裕一監修, p.494, 山と渓谷社.
Hinoma, A. 2005. FLORA OF HOKKAIDO - Distribution Maps of Vascular Plants in HOKKAIDO, JAPAN. [ http://www.hinoma.com/maps/plants/m8441.gif ] (accessed May 6, 2017).
高橋勝雄 (2007)『山渓名前図鑑 野草の名前 夏』p.31, 山と渓谷社.
梅沢俊 (2009)『新版 北海道の高山植物』p.70, 北海道新聞社.
梅沢俊 (2012)『新 北海道の花』p.117, 北海道大学出版会.
Yonekura, K. and H. Ohashi. 2005. A New Name of the East Asian Plant of Nephrophyllidium crista-galli (Menyanthaceae). The Journal of Japanese Botany 80(3): 186-187.

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