Last updated on January 12, 2017
Dracocephalum argunense Fisch. ex Link
海岸沿いの原生花園などで見られるムシャリンドウ
Canon EOS5D + TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
Lake Saroma - Saroma Town in Mid July, 2010
葉は広線形で対生し縁が裏側に巻き込んでいます
Canon EOS5D + TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
Lake Saroma - Saroma Town in Mid July, 2010
花は穂状花序にやや密につきよく目立ちます
Canon EOS5D + TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
Lake Saroma - Saroma Town in Mid July, 2010
花冠は3〜4cmほどの2唇形で3裂する下唇の中裂片が一際大きめ
Canon EOS5D + TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
Lake Saroma - Saroma Town in Mid July, 2010
環境省RL(2015) 絶滅危惧II類(VU)
北海道RDB(2001) 絶滅危急種(Vu)
【 参考文献 】
畔上能力・菱山忠三郎・西田尚道 (2013)『増補改訂新版 山に咲く花』門田裕一監修, p.423, 山と渓谷社.
文化庁 (掲載年不明)「文化遺産データベース - 紫檀螺鈿宝相華鳳凰文平胡籙」[ http://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/207596 ] (参照2017-01-12).
Hinoma, A. 2001. FLORA OF HOKKAIDO - Distribution Maps of Vascular Plants in HOKKAIDO, JAPAN. [ http://www.hinoma.com/maps/plants/m8677.gif ] (accessed January 10, 2017).
Li, H. W. and I. C. Hedge. 1994. Flora of China 17: 133, [ http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=200019566 ] (accessed January 10, 2017).
中標津町郷土館 (掲載年不明)「中標津町郷土館Website - なかしべつの歴史 地名」[ https://www.nakashibetsu.jp/kyoudokan_web/r12.htm ] (参照2017-01-11).
近江八幡市 (2015)「市の紹介 - 市の花、市の木、市の鳥」[ http://www.city.omihachiman.shiga.jp/contents_detail.php?co=cat&frmId=10130&frmCd=5-1-0-0-0 ] (参照2017−01−11).
Ohwi, J. 1965. FLORA OF JAPAN in English: 773.
高橋英樹 (2015)『レッドデータプランツ 増補改訂新版』矢原徹一ほか監修, p.133, 山と渓谷社.
高橋勝雄 (2007)『山渓名前図鑑 野草の名前 夏』p.318, 山と渓谷社.
梅沢俊 (2012)『新 北海道の花』p.306, 北海道大学出版会.
北海道・東北および長野県に分布し、千葉県・山梨県・静岡県では絶滅したようです。北海道では特に東部海岸沿いの原生花園などで多く見られ、爽やかな青い花が茎の先にまとまってつき、色とりどりの花が咲き乱れる夏本番を迎えた原生花園にあっても一際よく目立ちます。かつては北海道南部にも自生していましたが、開発など生育環境の変化により激減したようです。縁が裏側に巻き込む線形の葉が対生し、さらにその葉腋から1〜5対の葉を持つ短い柄が伸びるため、何枚も線形の葉がついているように見える姿は大変特徴的です。
ムシャリンドウという和名の由来については諸説あります。現在の滋賀県近江八幡市武佐町で発見されたことによる説は有名で、近江八幡市では「市の花」にも指定されているほどですが、実際には滋賀県に分布せず、この説に懐疑的な文献もちらほら。日本列島以外では南千島、東シベリア、朝鮮半島で見られ、やはり北方系の印象があります。ただし、“滋賀県に分布せず”という文言は、元来分布すらしていなかったのか、それとも過去に分布していたが絶滅したのか、で意味合いが大きく異なると思いますが、結論を得ることができませんでした。一方、平安時代の武官が儀式などで背負う平胡籙(ひらやなぐい)という矢入具があり、そこに矢を挿し入れた姿がムシャリンドウの葉を連想させるから、との説もありますが、正直この説も…う〜ん、どうなんだろう…と素直に受け入れるには説得力不足の印象が否めません。なお、武佐ではなく武者と漢字表記している文献もあります。
前述の地名由来説に関連しますが、実は北海道にも武佐という地名があります。釧路市武佐、標津郡中標津町字武佐。関連して釧路市には別保川の支流・武佐川、中標津町には標津川の支流・武佐川、その武佐川源流には武佐岳が聳えます。これらの武佐という地名の由来はわかりませんが、いずれもムシャリンドウが多く分布する道東地方。何か暗示のようなものが感じられる…というのは穿ち過ぎでしょうか。中標津町の武佐という地名に関しては中標津町郷土館Websiteにてその由来が諸説列挙されていますが、確証は得られていないようです。