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Plantago asiatica L.
林道や登山道脇では常連中の常連オオバコ
Canon EOS5D + TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
Sapporo City in Late August, 2009
花茎を含めた高さは20cm前後でしょうか
Canon EOS5D + EF50mm F1.4 USM
Mt. Soranumadake in Mid August, 2013
雌性先熟でまず糸のような白い雌しべが伸びて受粉を完了させます
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Soranumadake in Mid August, 2013
後に雄しべが伸びます…風媒花とのこと
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Soranumadake in Mid August, 2013
葉はすべて根生しています
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Sapporo City in Mid May, 2016
葉は卵形で光沢があり5本の脈が目立ちます
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Sapporo City in Mid May, 2016
踏まれても耐えられる強い維管束を持っています
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Sapporo City in Mid May, 2016
萼と苞の長さや種子の数などセイヨウオオバコとの区別点はありますが…
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Soranumadake in Mid August, 2013
【 参考文献 】
畔上能力・菱山忠三郎・西田尚道 (2013)『増補改訂新版 野に咲く花』林弥栄・門田裕一監修, pp.476-477, 山と渓谷社.
Hinoma, A. 2007. FLORA OF HOKKAIDO - Distribution Maps of Vascular Plants in HOKKAIDO, JAPAN. [ http://www.hinoma.com/maps/plants/m9031.gif ] (accessed May 18, 2016).
Ishikawa, N., J. Yokoyama and H. Tsukaya. 2009. Molecular evidence of reticulate evolution in the subgenus Plantago (Plantaginaceae). American Journal of Botany 96(9): 1627-1635. doi:10.3732/ajb.0800400
松尾和人 (1989)「オオバコ属植物の種生物学的研究 1. トウオオバコ並びに近縁種の変異とその類縁」植物分類・地理 40(1-4), pp.37-60, 日本植物分類学会. doi.org/10.18942/bunruichiri.KJ00001078666
渋谷香奈子・藤吉正明 (2006)「環境教育のための草花遊びの重要性」東海大学教養学部紀要 37, pp.213-225, 東海大学.
梅沢俊 (2012)『新北海道の花』p.391, 北海道大学出版会.
山西弘恭・福永典之 (1983)「日本列島におけるオオバコ Plantago asiatica L. の生態型分化」日本生態学会誌 33(4), pp.473-480, 日本生態学会. doi.org/10.18960/seitai.33.4_473
道端で大変おなじみのオオバコ Plantago asiatica。子供の頃、引っぱり相撲などで遊んだ方も多いのではないでしょうか。とても強い維管束を持っているため、他の植物だと踏み圧に耐えきれず枯れてしまうような林道や登山道脇などに生育場所を確立することができたようです。まさに雑草魂の本家本元!
日本全土に分布 ( 南西諸島のものはタイワンオオバコ P. formosana とする説も ) しますが、気候的要因により、冬期は成長を抑制し休眠状態で越冬するタイプ ( 北海道産は当然こちら ) と、常緑で物質生産を続けながら越冬するタイプに分けられ、それらは遺伝的にも固定されている可能性が強いようです。この2タイプの境界は、夏緑広葉樹林帯と常緑広葉樹林帯の境界と概ね一致しています。
ヨーロッパ原産のセイヨウオオバコ P. major とは外観がよく似ていて、オオバコは明らかに苞が萼より短く、種子がセイヨウより大きめ。1蒴果当りの種子数はオオバコの方が少ない傾向。セイヨウの種子は球形から楕円形あるいは三角形まで多様であることに対し、オオバコはほぼ楕円形。さらに大きな違いは、セイヨウの種皮には隆起した特徴的な縞模様があるが、オオバコの種皮にそのような模様は観察されない…。
つまりオオバコとセイヨウオオバコを厳密に識別するには、やはりあの小さい蒴果からさらに小さい種子を取り出して観察することが、現状では最も確実な手段かと…とほほ。よってここに載せた写真の中にも、もしかしたらセイヨウオオバコが混じっているかもしれません。あしからず。
ちなみに近年の遺伝子解析により、オオバコの出自はセイヨウオオバコと未知の種との間にできた雑種由来であることがわかっているそうです。なるほど姿形が似ているはずだ…。