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Crepidiastrum denticulatum (Houtt.) J.H.Pak et Kawano
鮮やかなレモンイエローの花が際立つヤクシソウ
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Shiraoi Town in Last September, 2015
よく枝分かれするので全体像はまとまりに欠くことが多いかも
Canon EOS5D + EF200mm F2.8L II USM
Shiraoi Town in Last September, 2012
茎の先端や葉腋に径1.5cmほどの頭花がまばらにつきます
Canon EOS5D + EF200mm F2.8L II USM
Shiraoi Town in Last September, 2012
頭花は10〜13個ほどの舌状花のみで構成されます
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Shiraoi Town in Last September, 2015
花期が終わると項垂れることは特徴の一つ
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Shiraoi Town in Early October, 2016
茎葉は互生し長さは5〜10cmほど
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Shiraoi Town in Early October, 2016
葉は不揃いの歯牙状で基部は耳状になり茎を抱きます
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Shiraoi Town in Last September, 2015
草刈りに巻き込まれ二次的に生育したと思われるものも時折見られます
Canon EOS5D + EF50mm F1.4 USM
Shiraoi Town in Last September, 2012
【 参考文献 】
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高橋勝雄 (2004)『山渓名前図鑑 野草の名前 秋冬』p.309, 山と渓谷社.
梅沢俊 (2012)『新北海道の花』p.27, 北海道大学出版会.
北海道では南へ行くほど多く生育している傾向のヤクシソウ Crepidiastrum denticulatum。秋の気配が本格化する頃にみられるレモンイエローが鮮やかな舌状花は、北海道の短い植物シーズンを締めくくる一員として相応しい美しさを備えています。ヤクシソウという和名の由来は「薬効があるんじゃないか?」だとか「薬師堂の近くで見つかったから」などなど諸説あるようです。
攪乱地…というほど大袈裟ではない散策路脇など、やや人為的な環境に生育する印象があり、1年草や2年草 (越年草) と文献により見解が様々です。秋に開花する2年草というとヒメヒゴタイなどが思い浮かびますが、開花個体の周辺に当年は花芽をつけない越冬個体と思われるものが大抵見られます。ところがこのヤクシソウではそのような個体を見たことがありません。もちろん単純に観察の質や量が不足している可能性は大いにありますが、もしかしたら北海道など寒冷地で生育するヤクシソウは1年草として振る舞っているのではないか?という見解に1票を投じたい…というのはあくまで個人的感想です。種子を採取し自ら育てて確かめたい欲求が湧いてきます。
花を見ると、オニタビラコ Youngia japonica や ハナニガナ Ixeridium dentatum subsp. nipponicum var. albiflorum f. amplifolium によく似ていますね。実際にこのヤクシソウはオニタビラコ属 Youngia やヤクシソウ属 Paraixeris とされてきましたが、蒴果の解剖学的研究や染色体の核学的分析などにより、アゼトウナ属 Crepidiastrum およびヤクシソウ属 Paraixeris はニガナ属 Ixeridium やその近縁属とは系統的に異なる特徴を示していること、そしてこれら2属は多くの共通する形態的特徴を持ち合わせていることなどの理由から、現在ではアゼトウナ属 Crepidiastrum にまとめられることが一般的な扱いです。余談ですが、かつて属間雑種とされてきたヤクシワダン (ヤクシソウ × ワダン)、ヤクシアゼトウナ (ヤクシソウ × アゼトウナ) は、この見解に従うならばいずれも同属の種間雑種ということに落ち着きます。