Last updated on October 18, 2016

エゾルリトラノオ - 蝦夷瑠璃虎尾

Veronica ovata Nakai subsp. miyabei (Nakai et Honda) Albach

エゾルリトラノオ全体

まさに瑠璃色の花穂が美しいエゾルリトラノオ

Canon EOS7D + EF300mm F4L IS USM + EF1.4xII
Erimo Town in Mid July, 2012

エゾルリトラノオ花序

穂状花序の見本のよう…一つ一つの花冠は径7mmほど

Canon EOS7D + EF300mm F4L IS USM + EF1.4xII
Erimo Town in Mid July, 2012

蝦夷瑠璃虎尾 - エゾルリトラノオ

- オオバコ科 クワガタソウ属 -

 和名が表す通り、瑠璃色の花穂が掛け値なしで美しいエゾルリトラノオ。海岸沿いの岩場や草地などで多くみられます。一見するとエゾクガイソウに似ていますが、エゾルリトラノオは全体がよりコンパクトで、葉が輪生するエゾクガイソウに対しエゾルリトラノオの葉は対生することで見分けに苦労することはないかと。主に山地でみられるヤマルリトラノオ ssp. miyabei var. japonica は、葉裏に毛が密生し白く見えるほどのエゾルリトラノオに比べ、葉裏の毛がないか、あってもわずかという違いがあります。

 かつてよりこのクワガタソウ属 Veronica には数多くの側系統分類群が立てられてきましたが、それぞれの境界線は曖昧かつ不安定で、分類学者による議論の的となっていました。このエゾルリトラノオも以前の図鑑などではルリトラノオ属 Pseudolysimachion として扱われることが多かったのですが、現在はDNAマーカーや染色体数、形態学的特性などを踏まえた更なる研究により、ルリトラノオ属は亜属 ( subgenera )とし、クワガタソウ属という単系統分類群としてまとめることが分類における安定性をもたらすのではないか、という見解が現時点では支持されているようです。

【 参考文献 】

Albach, D. C. 2008. Further arguments for the rejection of paraphyletic taxa: Veronica subgen. Pseudolysimachium(Plantaginaceae). Taxon 57(1): 1-6.
Hinoma, A. 2006. FLORA OF HOKKAIDO - Distribution Maps of Vascular Plants in HOKKAIDO, JAPAN. [ http://www.hinoma.com/maps/plants/m8946pa.gif ] (accessed October 13, 2016).
Hong, D. Y. & Manfred, A. F.. 1998. Flora of China 18 : 69, [ http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=210002288 ] (accessed October 13, 2016).
Ohwi, J. 1965. Flora of Japan in English: 800.
清水建美編著 (2014)『増補改訂新版 高山に咲く花』門田裕一監修, pp.332-333, 山と渓谷社.
梅沢俊 (2012)『新北海道の花』p.302, 北海道新聞社.
山崎敬 (1968)「ルリトラノオ属について」植物研究雑誌 43(10-11), pp.405-412, 津村製作所.

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