Last updated on September 27, 2016

ゲンノショウコ - 現証拠

Geranium thunbergii Siebold ex Lindl. et Paxton

ゲンノショウコ全体

いにしえの頃から薬草として名高いゲンノショウコ

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Bibai City in Mid August, 2015

ゲンノショウコ芽出し

春に芽吹く葉は特徴的な赤い斑があり一目瞭然

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Sapporo City in Late April, 2015

ゲンノショウコ全体

茎の基部は地を這うように伸び上部が立ち上がります

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Ebetsu City in Mid September, 2013

ゲンノショウコ茎

茎に顕著な開出毛がみられることは大きな特徴

Canon EOS5D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Sapporo City in Late October, 2014

ゲンノショウコ全体

下部だけではなく比較的上部の葉も5深裂する傾向があります

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Kuriyama Town in Mid September, 2016

ゲンノショウコ葉

葉は5深裂し裂片の先があまりとがらず優しい印象を受けます

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Kuriyama Town in Mid September, 2016

ゲンノショウコ花

花弁5枚&雄しべ10本&柱頭5裂で構成される花は意外とカラフル

Canon EOS20D + TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
Sapporo City in Late July, 2009

ゲンノショウコ白花

北海道でみられるゲンノショウコはほとんどが白花

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Bibai City in Mid August, 2015

ゲンノショウコ赤花

ただしごく稀に赤花がみられることもあります

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Bibai City in Mid August, 2015

ゲンノショウコ花

花弁が薄紅色のものは時折みられます…ちなみに雄性先熟です

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Sapporo City in Late October, 2014

ゲンノショウコ果実

結実すると花柱がぐんぐん伸び種子のある基部が丸く膨らみます

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Kuriyama Town in Mid September, 2016

ゲンノショウコ果実

機が熟すと果皮が縦に裂け果実を吹っ飛ばします…カタパルト方式?

Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Sapporo City in Early October, 2015

ゲンノショウコ果実

この姿を神輿に例えられますが個人的にはシャンデリアではないかと

Canon EOS5D + TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
Sapporo City in Early October, 2009

現証拠 - ゲンノショウコ

- フウロソウ科 フウロソウ属 -

秋の気配を感じられる頃になると、道端など身近な環境でみられる普通種中の普通種ともいえるゲンノショウコ Geranium thunbergii。ミコシグサという別名もある通り、種子を飛ばした後の独特な姿でも楽しませてくれます。東日本には白花が多く西日本では赤花が多いと言われるように、北海道ではほとんどが白花。まれに赤花もみられますが、そもそもゲンノショウコ自体が人為的な環境に多いので、赤花が元々北海道に自生していたものなのかを検証することは難しいのではないでしょうか。

ちなみに同属の ミツバフウロ G. wilfordii とは全体的な印象がかなり似ていますが、ゲンノショウコは比較的上部の葉でも5裂する傾向があることや、萼片、花柄、茎、葉柄などに開出毛や長い腺毛がみられることで見分けることは意外と容易かと思われます。

「現(の)証拠」という名の由来は、薬効が必ず現れる証拠のような植物であることから…と言われています。古来から下痢止めとしての民間薬で親しまれており、タンニンの一種ゲラニイン (属名由来であることは容易に想像できます) がその効能の立役者。しかも下痢止めだけでなく、煎じ方によって便秘にも効能があるという優秀さ。タンニンというと“苦みや渋み”を想像してしまいますが、このゲラニインは抽出単離すると鮮やかな黄色の結晶で舐めてみても苦みなどはなく、ゲンノショウコの煎液はお茶よりも飲みやすいそうです。つまりタンニンの有用な活性と“苦みや渋み”は必ずしも並行せず、ゲラニインは薬として大変良質なタンニンであるとのこと。ちょっと試してみたくなりますね。

【 参考文献 】

畔上能力・菱山忠三郎・西田尚道 (2013)『増補改訂新版 野に咲く花』林弥栄・門田裕一監修, p.307, 山と渓谷社.

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Hinoma, A. 2001. FLORA OF HOKKAIDO - Distribution Maps of Vascular Plants in HOKKAIDO, JAPAN. [ http://www.hinoma.com/maps/plants/m7439.gif ] (accessed September 9, 2016).

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Ohwi, J. 1965. FLORA OF JAPAN in English: 579.

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奥田拓男 (2000)「日本の代表的民間薬ゲンノショウコ 生薬のタンニン研究の原点」生薬學雑誌 53(Supple.2), pp.52-54, 日本生薬学会.

酒井英二・田中俊弘・水野瑞夫 (1990)「ゲンノショウコの形態の地域変異」生薬學雑誌 44(3), pp.245-250, 日本生薬学会.

多田多恵子 (2009)『身近な植物に発見!種子たちの知恵』pp.140-143, NHK出版.

高橋勝雄 (2004)『山渓名前図鑑 野草の名前 秋冬』p.130, 山と渓谷社.

梅沢俊 (2001)『北海道 夏〜秋の花 絵とき検索表III』pp.44-45, エコ・ネットワーク.

梅沢俊 (2012)『新北海道の花』p.139, 北海道大学出版会.

Xu, L. R. and C. Aedo. 2008. Flora of China 11: 16, [ http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=242323323 ] (accessed September 9, 2016).

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