Last updated on December 19, 2016
Adenophora pereskiifolia (Fisch. ex Roem. et Schult.) Fisch. ex G.Don
主に山地の岩場に生育するモイワシャジン
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Hakken in Mid August, 2013
葉は輪生することが多いが対生や互生のものも
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Hakken in Early June, 2015
葉身は披針形〜卵形まで幅があります
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Hakken in Mid September, 2014
花は輪生せず総状につくことは特徴の一つ
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Hakken in Mid August, 2013
花冠は鐘状でよく似たツリガネニンジンより優しげな雰囲気
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Hakken in Mid August, 2013
萼裂片は披針形(ツリガネニンジンは糸状線形)なのは最もわかりやすい特徴
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Hakken in Mid August, 2013
白花やそれに近い花色は結構見られます
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Hakken in Mid September, 2014
生育環境により姿は様々…まるでミョウギシャジン A. nikoensis のよう
Canon EOS7D + EF100mm F2.8L MACRO IS USM
Mt. Hakken in Early July, 2015
だらりと垂れ下がるような姿で見られることも
Canon EOS5D + EF50mm F1.4 USM
Mt. Hakken in Mid August, 2013
【 参考文献 】
畔上能力・菱山忠三郎・西田尚道 (2013)『増補改訂新版 山に咲く花』門田裕一監修, p.487, 山と渓谷社.
Hinoma, A. 2006. FLORA OF HOKKAIDO - Distribution Maps of Vascular Plants in HOKKAIDO, JAPAN. [ http://www.hinoma.com/maps/plants/m9260pa.gif ] (accessed December 10, 2016).
Hong, D. Y., T. G. Lammers and L. L. Klein. 2011. Flora of China 19: 548, [ http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=200022835 ] (accessed December 10, 2016).
岡崎純子 (1988)「ヒメシャジン群の分類学的研究 : I. シラトリシャジンについて」植物分類・地理 39(1-3), pp.94-104, 日本植物分類学会. doi.org/10.18942/bunruichiri.KJ00002594220
清水建美・岡崎純子 (1982)「日本産ツリガネニンジン属植物の研究 II. 染色体数概観と花粉粒の調査」植物分類・地理 33, pp.328-335, 日本植物分類学会. doi.org/10.18942/bunruichiri.KJ00001079180
清水建美編著 (2014)『増補改訂新版 高山に咲く花』門田裕一監修, pp.370-371, 山と渓谷社.
梅沢俊 (2001)『北海道 夏〜秋の花 絵とき検索表III』p.29, エコ・ネットワーク.
梅沢俊 (2009)『新版北海道の高山植物』pp.42-43, 北海道新聞社.
岩場のある山に登ると見かける機会が多いモイワシャジン Adenophora pereskiifolia。比較的低地で見られる ツリガネニンジン A. triphylla var. japonica と似ていますが、花が総状につくこと、萼裂片が披針形であることなどにより見分けは容易です。ただしモイワシャジンは変異幅がとても大きく、例えば葉身の形状や背丈などは、高山の岩場のものと低標高の岩場のものでは本当に同種なのかと疑ってしまうほどの違いがあります。さらに葉のつき方、葉裏の毛の密度、花盤の長さなどは、地域集団間どころか集団内の変異の方が著しいようです。
ツリガネニンジン属の染色体数は17を基本数とし、二倍体 (2n=34) ではおなじみツリガネニンジンと道北蛇紋岩地でみられる固有種 シラトリシャジン A. uryuensis、四倍体 (2n=68) では夕張岳で見られるユウバリシャジン A. pereskiifolia var. yamadae、渡島半島でわずかに分布するミョウギシャジン A. nikoensis、そしてこのモイワシャジンが北海道に分布しています。なお、ユウバリシャジンはモイワシャジンに含まれる見解があります。
モイワシャジンの “モイワ” とは、札幌市民にとっては母なる山とも言うべき藻岩山のことで、基準標本がその藻岩山で採集された個体であることからの命名です。モイワを冠する植物はモイワシャジンを始め複数あり、モイワナズナ Draba sachalinensis var. sachalinensis、モイワラン Cremastra aphylla、モイワボダイジュ Tilia maximowicziana var. yesoana などがありますが、モイワシャジン及びモイワナズナは、すでに藻岩山では見られなくなったと文献か何かで見た記憶があります…真相は如何に。