Last updated on November 10, 2016
Clinopodium coreanum (H.Lév.) H.Hara subsp. coreanum
和名の通り車輪のように花をつけるクルマバナ
散策路や登山道・林道脇などで普通に見られます
葉は長卵形で対生し縁には浅い鋸歯があります
花色は濃いものから薄いものまで様々
花冠は長さ1cmほどで下唇が大きい2唇形&4つある雄しべのうち2つが長め
花柄より長い線形の苞葉が特徴的&5裂する萼裂片は先が褐色になる傾向
これは変種ヤマクルマバナかと…萼裂片が褐色にならず緑色なことが特徴の一つ
これもヤマクルマバナかと…花冠が小さく花色は薄いものが多い印象
【 参考文献 】
畔上能力・菱山忠三郎・西田尚道 (2013)『増補改訂新版 山に咲く花』門田裕一監修, p.430, 山と渓谷社.
原寛 (1936)「東亞植物考(其九)」植物研究雑誌 12(1), pp.37-46, ツムラ.
Hinoma, A. 2007. FLORA OF HOKKAIDO - Distribution Maps of Vascular Plants in HOKKAIDO, JAPAN. [ http://www.hinoma.com/maps/plants/m8665pa.gif ] (accessed November 8, 2016).
Koidzumi, G. 1929. Contributiones ad Cognitionem Florae Asiae Orientalis (Continued from Vol. XL p. 348.). THE BOTANICAL MAGAZINE 43: 382-407. doi.org/10.15281/jplantres1887.44.93
Li, H. W. and I. C. Hedge. 1994. Flora of China 17: 229, [ http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=200019541 ] (accessed November 8, 2016).
梅沢俊 (2012)『新北海道の花』p.229, 北海道大学出版会.
北海道ではほぼ全域で見られ、森の散策路や登山道、林道脇などでごく普通に目にします。和名が表す通り車輪状に花を咲かせるこのクルマバナ Clinopodium coreanum subsp. coreanum を見かけるようになると、北海道の短い夏もピークを過ぎつつあるのかぁ…と少し物寂しい気持ちになってしまいます。
植物に興味を向けて観察し始めた頃は、シソ科の仲間を見分けることに苦労しました。北海道では特に イヌゴマ Stachys aspera var. hispidula や ミヤマトウバナ C. micranthum var. sachalinense との見分けでしょうか。花期もほぼ同時期ですし。イヌゴマはクルマバナに比べ花が大きく葉は披針形、茎に下向きの刺毛があります。逆にミヤマトウバナの花は小さめで、大きな群生を作る傾向があり、苞葉が花柄より短いことが特徴。それぞれの全体の大きさ (というより“貫禄”という言葉が適切かも) も異なり「イヌゴマ>クルマバナ>ミヤマトウバナ」という印象です。もちろん環境により個体差はあると思われますが。ちなみにミヤマトウバナはクルマバナと同じトウバナ属 Clinopodium ですが、イヌゴマはイヌゴマ属 Stachys で別属になります。
クルマバナに比べ花冠が小さめで花色は白っぽく、萼裂片は褐色にならず緑色のものを亜種ヤマクルマバナ C. chinense subsp. glabrescens とする見解もありますが、このページではとりあえずまとめて載せました。